クライアント名は非公開ですが、医療法人様の動画用のイラストをご依頼いただきました。医療現場における、いくつかの物語を描かせていただきました。
私も以前医局に勤めていたことがあり、何度か悲しい場面、辛い場面を体験・見聞きしたことがあります。
忘れられないのが、敷地内を歩いていた時、ご年配の男性に面会受付の場所を聞かれました。ご案内しようと歩き始めたところ足を引きずっていらっしゃいました。
「戦友が容態が悪くてね、もしかしたらもうダメかもって聞いてね、なんとか言を担いで新しい靴を履いてきたんだけど、靴擦れして痛くてね。」と。確かにぴかぴかの黒い革靴を履いていらっしゃいました。
「なんとか持ち直していただけるといいですね。」と話しながら面会受付までご案内しました。こちらからは(当たり前ですが)伺ってなかったのですが、患者様の名前もおっしゃっていて、そのお名前は偶然にも疾患データ入力のため何度か仕事内で見かけたことがあるお名前でした。
翌朝出勤すると、お亡くなりになられた患者様のお名前の報告書を渡され、そのお名前は前日にお見舞い患者様がおっしゃっていた方のものでした。カバンを机に置きながら、がっくりとしてしまい、しばらくその書類を見つめて昨日ご案内した方のお顔や、黒い革靴を思い出しておりました。なんとかお見舞いに来た方はお別れができたのかな、靴擦れはとても忘れられない痛みとなったかもしれないと思うと、データ入力中も泣けてきてしまいました。
そんな忘れられない思い出でした。
あと自分が体調悪化して、終業後私の顔色を見た先生が、「ちょっといらっしゃい、診察受けないとダメですよ」と言われ、夜間診療に行き、そのまま職場に入院したこともありました。(苦笑)
今でもあの職場の先生には感謝しております。